02. 全体像のおさらい

まずはポートフォリオサイトを作る目的をまとめます。通常、クライアントに頼まれてWebサイトを作ることになったとき、クライアントの目的・ゴールに沿った企画・設計をしていかなければなりません。では、自身のポートフォリオサイトではどうでしょうか?自分のサイトなので個性や好きなことを全面に出して、見る人にアピールするべきでしょうか?答えは、Noです。自分自身がそのWebサイトを通して何をどうしたいのか、見る側にどう受け取ってもらいたいのかを考えると、やはりきちんと設計したサイトでなければなりません。もちろん、自分の好きなデザインやテイストを取り入れ、自分の世界観を表現することも必要です。ですが、サイトの目的を達成できるよう、見る人の立場に立って行き過ぎないように気をつけましょう。

Lesson1の「Webデザインの概要」でも学んだ通り、デザイナーは常にユーザーとの「対話」を考えながらサイトをデザインします。画面上の言葉やイラスト、たくさんの視覚的な情報を通してその向こう側にいるユーザーに思いを伝え、ユーザーに理解とアクションを起こしてもらいます。顔も見えない画面の向こうにいる相手とのコミュニケーションは難しいと感じるかもしれませんが、まずは目的やターゲットを明確にし、一緒に考えていきましょう。

2.1 目的

早速今回のポートフォリオサイトの目的を考えます。この目的は、ご自身のこれから目指す方向性によって多少変わってくるでしょう。もちろん、それによってターゲットやゴールも少し変わってきます。もし、制作会社などへの就職を考えている場合は書類選考や面接の際に、現在の技術を確認してもらうための素材となります。そして、ゴールは合格採用をもらうことです。次に、フリーランスとして活躍したい場合、ターゲットはWebサイトを作りたいと思っている企業や個人、または制作パートナーを探している制作会社や代理店などになります。ポートフォリオサイトを通じて自分の技術や実績を確認してもらい、仕事の依頼や問い合わせをしてもらうことがゴールとなります。

このように、サイトの目的が少しでも変わるとターゲットやゴールがそれぞれ違ってくることがわかります。まずは目的をはっきりと捉え、それに応じたターゲットやゴールを設定しましょう。

今回は「就職活動に活かすため」の作品集の目的を持ったポートフォリオサイトを作っていきます。最終的なゴールは、技術や実績を認めてもらい内定をもらうことです。

また、ポートフォリオサイトは就職のみならず、在宅副業やフリーランスにも活かしてきます。

2.2 ターゲットユーザー

目的が決まると、どんな人がこのサイトを見るのかがなんとなく浮かんできます。もちろん、インターネットは世界中につながっているので、世界中の様々な人に見てもらうことが可能です。Web制作という特性上、どこにいても、どんな場所からも仕事の依頼の可能性はありますし、一度も直接顔を合わさずに仕事を進めることも可能です。しかし漠然と「世界中のWebに携わる人や制作会社の人に見てもらいたい」となると、サイトのコンセプトやデザインは決まりません。ターゲットを詳細にすることで、サイトで使う言葉や写真、実績の載せ方も変わってきます。

そこで今回は次のようにターゲットユーザーを設定しました。

  • 制作会社の採用担当者
  • 年代は30代〜40代
  • WEBのプロ、細部までチェックされる
  • WEB技術やツールについても詳しい
  • 社内PCで閲覧。スマートフォンを日常的業務でも使用している

ポートフォリオは必須項目です。会社側はポートフォリオサイトを通して技術だけでなく、応募してきた人の人柄や、人間性も見たいと思っています。

いくら優れたスキルを持っていても、技術力だけで採用!というところは少ないでしょう。逆を取れば、実務未経験でも基本的な技術やスキルがあり、人柄に魅力を感じてもらえれば採用の可能性は高くなることになります。

スキルは大前提となりますが、最終判断はあなたと一緒に仕事がしたい。
そう思ってもらえるかが最後のファクターになってきます。技術や実績などを事務的に並べるポートフォリオではなく、自分自身のこともアピールできるポートフォリオサイトを目指していきましょう。